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 OB会設立のために大きな力をいただき、そして現チームコーチとしてラ・サールラグビーを支えてくださっている、OB会顧問の額賀康之先生(3期)の寄稿を紹介します。ご一読いただき、ラ・サールラグビー一層の発展・支援のためOB会組織拡大・強化に何卒ご協力お願いします。

函館ラ・サール学園ラグビー部 今後の発展に向けて

〜“貴重な存在”が“プロ化集団”に対峙する〜

コーチ  額賀 康之

 

 

はじめに 

 新型コロナ禍により開催が危ぶまれる中、第100回記念大会が無事開催されたことに対し大会関係者はもとよりOB会、後援会の皆様には深甚なる感謝を申し上げます。この度の全国大会参加により私なりに感じられた函館ラ・サール学園ラグビー部(以下、函館ラ・サールラグビー部)の現況そして今後について私見ながら述べたいと思います。

 

1)現況 

1.チーム力

 今大会では北海道の3チームはすべて一回戦での敗退でした。

 近年高校ラグビーでは西日本の躍進が著しく、その大きな要因はラグビースクールの興隆にあります。近代ラグビーの発展 は高校からの競技への参加では到底追いつかない状況となってきています。多くの日本代表選手の競技開始年齢は4,5歳とされています。強豪校といわれる高校チームはそれらの優秀な人材をスカウトして強化に努めています。今回のベスト16に入るチームは勿論のこと二回戦進出チームの多くも当てはまります。

 以上より、現在の高校ラグビーはある意味プロ化されたスポーツであるが、逆に全国大会における函館ラ・サールラグビー部のような存在は極めてまれで貴重なものであります。他の強豪校には見られない多種多様なバックグラウンドを持った部員の存在こそが函館ラ・サールラグビー部の存在意義であり、また誇るべきものです。すなわち、彼らにとっては花園で戦うことが大義であり、求めるところなのです。

 それでは北海道における立ち位置を考えてみます。現状では一回戦敗退とは言え札幌山の手の力は一歩抜きん出ているため 南北含めて水をあけられて函館ラ・サールラグビー部は二番手についているところです。残念ながら北のチームは南大会の上位に入ることも厳しい状況です。

2.北海道ラグビーの課題

 残念ながら今大会の結果が物語るようにレベル的には全国と大きくかけ離れています。もしこの状況のまま札幌山の手が道内で一強の立場を確立してしまっては、北海道の高校ラグビーは衰退の一途を辿るばかりです。それを阻止するためには対抗軸としての函館ラ・サールラグビー部の存在、そして北の奮起それにひかれて他チームのレベルアップが必要です。

3.函館ラ・サールラグビー部の今後

 ラ・サールの奮起こそが北海道ラグビーの存続にかかっているといっても過言ではありません。ラグビーはその歴史からボーディングスクールにふさわしいスポーツとされてきたため、ラ・サール学園に適したスポーツであると考えられます。現在は多くの選手が中学からラグビーをはじめ高校へと上がってきています。しかし全国の強豪校と大きく異なるのはごく一部のものを除いてラグビーを目的に入学してきているわけではありません。すなわち、肉体的にも運動能力の面でもスタートの時点で大きく差をつけられています。札幌山の手との大きな違いもそこにあります。

 ところが、前監督の荒木先生が掲げた生活力のラグビー、そのベースは「ラグビーは教育」であるとの理念のもと二度の花園出場を成し遂げたのです。この事実は大いに評価されるべきであり、今後もラ・サールラグビーの矜持として根付くことでしょう。しかし、昨年の南大会決勝から見て現実は残念ながらコンタクトスポーツにおける函館ラ・サールラグビーの限界でした。

 それでは函館ラ・サールラグビー部が全国で戦うチームになるためにはどのような改善努力が必要なのでしょうか。

2)改善点

1.体格差を埋める

 体の大きい小さいではなく戦うための強いからだ作り。筋肉をつけて体重差を少なくして、当たり負けしない体を作る。強豪校のように大きな重い選手をスポーツ推薦等で随時獲得することは不可能。現有勢力の中で目的を達するためには選手の食事に対する意識改革が必要。特に寮生。出た食事は残さない、食べることも練習のうち、この意識付けをしたうえで、栄養面で足りない部分は補食そしてプロテインの摂取で補う。1月休み明けからプロテインの摂取を義務化済み。

2.ラグビースクールからの入校・入部促進

 中学からの内進生だけではその年によっては部員不足となる。また、外の血を入れることでチームの活性化を図る。今までもスクール出身者はいたが、今後、より積極的に勧誘をする。ラ・サールラグビーへの不安材料として入学後の勉強との両立についてあげられる。ラグビーと勉学の両立は決して生易しいものではないのも事実であるが、ここのサポート体制の確立。 ラ・サールは卒業後の進路について魅力のあることをアピールして夢を持たせる。進学実績のアピール!

3.指導体制の強化・改善

 現時点では宇佐見監督が中高70名以上の監督を兼ねているが、すべてを監督するのは物理的に不可能である。ここで小田ストレングス&コンディショニングコーチの存在は不可欠なものである。今後とも継続の必要がある。しかし部活動としてはもう一名の専任教員が必要である。現場を見られる教員は勿論、その上、井上誠部長の存在もチームマネージメントとして必須である。

3)具体的な強化策

1.コーチング内容の検討

 先述のとおりラ・サールラグビーはラグビーのみを目的として入学してきているのではないため、チーム作りはそのメンバー構成によって変化するものである。今回の花園での戦い方も現有戦力を考えた結果、今までのスタイルにキックをあらゆる場面で用いることを練習から加えていった。高校のチームは毎年多くの部員が入れ替わるため、ラ・サールラグビーにおいては柔軟な発想が必要である。また、個々の体格・運動能力に応じたスキルの習得も他の強豪チーム以上に必要である。部活における頭頚部などの重傷事故だけは絶対に避けなければいけない。

2.練習環境の改善

 今までもトレーニングルームの整備、スクラムマシーンの購入、照明塔の整備等、過去の花園出場時の寄付金の残金などで賄われてきた。しかし、近年部員の増加によりトレーニングルームの拡充やトレーニング器機のさらなる整備、老朽化した部室の改善等も求められる。全国大会に出場する部活動は特に団体スポーツにおいては遠征費やコーチ招聘料などインフラ以外にも多額の費用がかかる。また、生徒負担の面からも特段の配慮を必要とされてきた。学校からの補助は全道・全国大会出場時の一部補助が原則であり、強化遠征などは対象外である。

4)まとめ

 以上述べてきたように、半世紀以上の歴史の中で培われてきた函館ラ・サール学園ラグビー部が全国大会に出場する部活動となった今、函館ラ・サール学園において代表するスポーツであり、今後も発展していかなければならない部活動であることには疑いの余地はないと思われます。

 また何よりも、函館ラ・サール学園ラグビー部を卒業したOB にとっては誇りでもあり、部員の保護者にとってはご子息の成長を肌で感じることのできる場でもあります。関係各位にはこれらのことを踏まえて特段のご支援・ご声援を賜りたく存じます。

                                                老コーチの独り言

  

 

 

 

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